「頑固」「無口」「短気」「思いやり」「情」
職人というと文頭にあげた言葉が出てくる。
今の時代に沿っていない生き方なのかもしれない。
でも、そこに「味」がある。そう感じるのは、少なからず
10年近く昭和という時代を歩んできたことも
影響しているだろう。
ファインダーから覗く被写体である彼の姿は
こちらを見ることもなく
代々何百年と続く平屋の建物の中のいつもの一角で
いつも通り淡々と作業をこなしている。
頑なに守り続ける昔ながらの伝統的な操法で
黙々と働き続けるオヤジ。
一見、見た目怖そうな風貌であるが
その奥にある瞳はやさしさを物語っている。
それは、古き良き昭和の時代を思い浮かべさせる
風景のひとつであるかのような錯覚を僕自身に
与えてくれる。
僕の空っぽなココロを満たしてくれるのは
もしかしたら、今の時代と逆行するかのような
世界に身を置いて生活することなのだろうか。
凸凹であること、個性があることが当たり前、
没個性、均一化された社会、そして均一化された人間が
創られていく現代とは真逆である世界に。