メキシコと言えば、「危険」というイメージを必ず持たれる。
それは、致し方ないことである。
理由は大きく2つある。
1.麻薬組織による警察との戦い、または麻薬組織同士の抗争による死。
2.政府や警察の汚職、賄賂の横行。
上記の2点による負のイメージが先行しておりメキシコの良さを消してしまっているのは否めない。
しかし、メキシコの悪の部分で覆われ国際的に「悪」のイメージがついた部分を払拭し、
今まであまりフォーカスされてこなかったメキシコの善い部分を知ってもらう事をあくまで目的として始めた「お祭り」の撮影。
特に「祭り」を盛り上げるDanzante(いわゆるダンサー)
にフォーカスした撮影を行ってきた。
しかし、今回は日本帰国ということで日本在住していた際には
全く見向きもしなかった日本の
「祭り」に注目してみた。
さらに、祭りでの行い方や衣装の違いなど比較する点があることも
注目した理由である。
今回は、実家の名古屋からJRで2時間半の場所にある岐阜県高山市で行われた「高山祭」に行ってきた。
高山祭は、京都の祇園祭、秩父の秩父夜祭と並んで日本三大曳山祭の一つに数えられ、さらに日本三大美祭とされる。
祭りのメインは山車(曳山)であり12台ある山車(屋台)は
重要有形民俗文化財に指定され
さらに、屋台行事が重要無形民俗文化財に指定されている。
貴重な装飾が施されている屋台を常時保管するため、屋台を保管している大きな蔵、「屋台蔵」が街の至るところに存在する。
さらに、その屋台に施された「巧みな動きをするからくり人形」が
街行く人々を釘付けにする。
からくり人形を披露するのと同時に行われる大名行列がこの「高山祭」のメインイベントである。
家紋が入った着物を身に纏いゆっくりと高山の街を闊歩する姿はマンションやビルが立ち並ぶ中で
非常に目立ち「現在」の中に「過去」が入り組んでいるように感じる。
着物を身に纏い行列に参加する方にも注目が行くが、僕が興味を
引いたのは、展示している「屋台」を一般見物客による破損から守る見張り番、いわゆる「番人」である。
足を組み観光客を威嚇するような
態度で物の見たさで「屋台」に近づく人たちを眼光く見つめる。
しかし、いざ話かけるとテンポよく
話を返してくれ、メキシコから来たというと興味を持ったかのように向こうから話かけてくれる非常に
笑顔が素敵な方々でさっきまでの
威嚇するのような鋭い眼は柔らかく温和な眼に変わり「番人」の仕事をちょっとの間ほったらかしにし会話を楽しんだ。
時間にして3時間ほどしか滞在しなかったものの「祭り」の伝統を引き継ごうと小学生の男女が参加しているのを見たが、その点はメキシコと一緒なんだなあっと感じた。会社員であろう方々は有休を取得して参加しているらしかった。
「番人」「大名行列参加者」「屋台を管理される方」など祭りの成功を祈っている「想い」というのは、目に見えなくても
少なからず感じられた祭りであった。